PLoS Medicine 5周年記念コンペ
- PLoS Medicine’s 5th anniversary competition — Open Access Week – October 19-23, 2009(Sep 16, 2009 Liz Allen)
(This is a translated version of “Open Access Week – October 19-23, 2009” blog post. Thanks to Liz Allen and Donna Okubo. Translated by Kanako Honma)
2009年10月19日に、PLoS Medicineは5周年を迎えます。医薬系出版におけるオープンアクセスの重要性を広めるため、オープンアクセスライセンスで発表された医薬系論文の1位を決める、コンペティションを行います。対象はPLoS Medicineが始まってからの5年間で発表された論文で、PLoS以外で出版されたものも対象となります。
コンペティションの開始当初は6本の論文について投票を受け付けましたが、数日経過した後、そのうちの1本がオープンアクセスではなくフリーアクセスの論文であることが発覚し、投票を一時中断せざるをえなくなりました。公平を期すために、改めて5本の論文について再投票を行い、再投票の数だけを数えることに決定しました。もし再投票開始前に投票してくださった方がいましたら、申し訳ありませんが、どうか改めての投票をお願いいたします。
今回の件を通して、フリーアクセス論文とオープンアクセス論文を見分けることの難しさが示されました。オープンアクセスはPLoSの基本原則です。フリーアクセスとオープンアクセスの重要な違いを改めて確認しましょう。フリーアクセスは方向性としては正しいものですが、オープンアクセスとは異なります。なぜなら、本当のオープンアクセスは、無料で論文を読めるだけではなく、ダウンロードも、コピーも、配布も・・・帰属先を明示すればどのような形にも使用することができるのです。多くのジャーナルは、フリーアクセスの選択肢を用意しています。しかしクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを用いて出版された論文が、本当の意味でのオープンアクセスなのです。このことを頭にとどめておいてください。また、ジャーナルに掲載された幾百の論文を漁るときも「フリーアクセス」論文にどんなライセンスが付与されているのかを意識して見てください。
コンペの投票候補である、以下5本の論文の中から、あなたはどの論文を選びますか。いずれも、PLoS編集委員会によって選出された論文です。優勝論文はオープンアクセス週間期間中に発表されます。我々がどのように以下5本の論文、つまりトップクオリティの医薬系オープンアクセス論文5本を選んだかについて興味がおありの方は、本記事の後半をお読み下さい。
候補論文はいずれも下記のリンクから読むことができます。投票は、以下の黒いフォームからどうぞ。
【候補論文】
Emergence of Mycobacterium tuberculosis with extensive resistance to second-line drugs — Worldwide, 2000–2004
Wright, A. et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. (2006) 301-305
The preventable causes of death in the United States: comparative risk assessment of dietary, lifestyle, and metabolic risk factors Danaei, G. et al. PLoS Med. (2009) 6(4): e1000058
Randomized, controlled intervention trial of male circumcision for reduction of HIV infection risk: the ANRS 1265 Trial. Auvert, B. et al. PLoS Med (2005) 2(11): e298.
Identification and characterization of transmitted and early founder virus envelopes in primary HIV-1 infection Keele, B.F. et al. Proc. Natl. Acad. Sci (USA) (2008) 105 :7552-7557
Projections of global mortality and burden of disease from 2002 to 2030 Mathers, C. D & Loncar, D. PLoS Med (2006) 3(11): e442.
選考プロセスを公平かつ透明なものにするために、コンペティションの運営は非常に困難を極めました。我々はまず始めに編集委員会に相談して、候補となる論文を選んでいただくことにしました。各編集委員は、それぞれ連絡をとって、2つのカテゴリーに分けて、ベスト・オープンアクセス・ペーパー候補を探しました。2つのカテゴリーとは、public health impactとtranslational medicineで、このカテゴリ分けはDirectory of Open Access Journalsに準拠したものです。そして編集委員のうち10%が、候補論文を出してくれました。その中から、我々は本当の意味でオープンアクセスでないものを取り除きました(我々は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもとで出版されている論文を「オープンアクセス」と定義しました)。
候補論文を出した編集委員の中には、リストされた論文から(投票ではなく)自分たちでお気に入りを選ぶほうが簡単だと感じる人もいたようです。しかし私たちはそのようなアプローチを取りませんでした。結論を急ぐようなことはしたくなかったからです。実のところ、我々はバイアスがかかってはいないかと、非常に危惧していました。そこで Chair of the Committee on Publication Ethics (COPE)のElizabeth Wagerに連絡を取り、全プロセスを監視するよう依頼しました。彼女は我々が送ったメールを丁寧に読み、リスト自体にもプロセスにも、意図的・非意図的を問わず編集委員のバイアスがかかっていないかどうか、チェックしてくださいました。
・ほとんどの編集委員メンバーは、候補論文の選出を大変なものだと受け取りました。そこで我々は、同僚や学生に推薦するような傑出した論文を指定してくれるようにリクエストしました。
・多くの編集委員メンバーは、PLoS Medicine掲載論文のみを選出しました。そこで我々は改めて、それらの関連論文のなかで、選出に値する論文がないかと尋ねました。
・public health impactカテゴリーについては多くの候補論文を得た一方、translational medicineカテゴリーの論文はほぼ0本でした。そこでこちらのカテゴリーについては取り扱うのをやめることにしました。
初め40本に及んだ候補論文は、編集委員のチェックを経て、6本に絞り込まれました。このチェック段階では、編集委員の20%が反応を示しました。このレスポンスを頼りに、我々は6本の投票用論文を選んだのです。このうち3本はPLoS Medicine掲載論文が、もう3本はPLoS以外のジャーナルの掲載論文が選ばれました。PLoS以外のジャーナルからも候補を選ぶように気をつけなければ、投票候補全てがPLoS Medicine掲載論文になってしまうところでした。しかし投票受付開始後に、そのうち1本が実はオープンアクセスではなかったことに気付き、我々は急遽投票対象からその1本を除外し、改めて再投票を受け付け始めました。
投票候補を出すときは、(オープンな形式で)候補案を質問するより、(限られた)選択肢を与えたほうが良い・・・と、我々は今回のプロセスから学びました。私たちが(編集委員から)受け取った候補の中には、(オープンアクセスでない)The Lances誌やNew England Journal of Medicine誌の掲載論文や、間違えて投票候補にあげてしまったフリーアクセス論文などが含まれていました。これはフリーアクセスとオープンアクセスの定義についての混乱があることを、つぶさに示しています。さらにいえば、オープンアクセスを推進する立場である我々でさえ、出版論文の付与ライセンスや原稿の再利用条件の特定に困難を伴うことがあるのです。
さて、この好機を逃さず、どうぞ投票にご参加ください。どの論文が一番多くの票を集めるのか、私たちも結果を楽しみにしています!

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