オープンアクセスの認識と理解を広げるために
Open Access Week

オープンアクセス週間 ウェルカムトラスト財団からの挑戦状

(This is a translated version of “Open Access Week – October 19-23, 2009” blog post. Thanks to Liz Allen and Donna Okubo. Translated by Kanako Honma)

オープンアクセス週間中、たくさんのイベントや普及運動が行われ、色々なアナウンスが出されました。そこで今日は、オープンアクセス週間について振り返ってみましょう。オープンアクセス週間、世界中で素晴らしいイベントが多数行われた1週間でした。本ポストは、Centre for Research Communicationsのトップである、Bill Hubbard(JISC, Research Communications Strategist)による文章です。

私たちJISCはオープンアクセス週間実行委員であっただけでなく、イベントや宣伝活動など諸々のプロジェクトで、とてもアクティブに活動しています。オープンアクセスに関する継続的・長期的サポートの一環として、活動成果をブックレットにまとめました。オープンアクセスの領域は長い時間をかけて発展してきました。JISCはオープンアクセスに関する活動を10年以上続けており、その活動成果はオンラインで公開されています。

今週は、オープンアクセスの「数字」にまつわる重大アナウンスが多数ありました。サルフォード大学が世界で100番目のオープンアクセス義務化を発表し、 OpenDOARは1500番目のリポジトリを収録し、PLos Medicineは5周年を迎えました。これらは全てオープンアクセスの広まりを示していますし、オープンアクセス運動が止められない流れになっている良い証拠でしょう。

商業団体(出版社だけではなく、大学も含めた商業団体)がこの流れを避けられないものとして受け入れて、対応策を考えるために、一体どれくらいの時間が残されているでしょうか。

変化した後の世界がどのようなものになるかはさておいて、従来の出版が大きな曲がり角を迎えていることは、ここ数年間で明らかになってきました。ただし私たちは、電子ジャーナルは伝統的出版の単なる技術的変化でしかないと捉えています。プロダクト、プロセス、ビジネスモデルの真の変化は、まだまだこれからです。オープンアクセスはビジネスやお金に関する環境変化の1つでしかありません。しかし、それと同時に社会・学術界の期待の星の1つであり、また技術的・社会的発展に伴って学術コミュニケーションに求められている変化の1つです。

急速な進化の過程では、小さくひ弱なプレイヤーのいくつかは自然の淘汰によって消滅してしまうかもしれません。いっぽう大きなプレイヤーは、他が摩耗していく中で、非効率な部分を改善して生き残ることが出来るでしょう。しかしいずれにせよ、どんなサイズの会社であれ、変化に対応してビジネスを変える必要があります。大きな変化に対応するためには、少なくとも、ビジネスモデルの変化のひとつとして、オープンアクセスに対応する必要があります。

ウェルカムトラスト財団は4年前に作成したオープンアクセスに関する報告書の中で、あるアイディアを発表しました。オープンアクセスのための出版費を同財団が支払い、出版社は通常の購読料に加えて追加収入を得ることができるようにするという案を出したのです。これは単なるオープンアクセス出版に対する報酬提案ではなく、変化の波の中で、真のオープンアクセスによるビジネスモデルを構築しようと試みている出版社に対しての資金援助を提案したということです。

今のところ、オープンアクセスによる収入を反映して雑誌購読費が削減されたという例は、ほとんどありません。オックスフォード大学出版局の一例を除いては。出版社は弁解まじりに、オープンアクセスによる収入による購読費の値段の切り下げは難しいと言います。しかし購読者はそれを期待していますし、またその期待はより大きくなってきているように感ぜられます。

以上のようなことを踏まえると、今週(オープンアクセス週間)あった出来事のなかで最も重要なものは、ウェルカムトラスト財団から発表されたプレスリリースでしょう。

ウェルカムトラスト財団のDirectorであるSir Mark Walportは、次のような声明を発表しました。

「私たちはオープンアクセスに対して出版社が責任を果たしているという事実、オープンアクセス出版費による収入を反映して購読料値下げをしていているという事実を見せてほしい。いくつかの出版社、例えばオックスフォード大学出版局は、既にこれを行っている。私たちは、すべての出版社が同じ取り組みをすることを希望する。」

このコメントは、公の場で述べられたことです。つまり、助成金を出している人々の側から、変化を後押しする声明が出されたのです。

Houghton Reportという報告書を開くと、重要な試算があります。英国政府の追加助成によって研究成果がアクセスしやすく公開されているおかげで、英国全体で年間約258億円(1.72億ポンド)の経済効果が生まれているというのです。また購読料モデルからオープンアクセス出版モデルに変化することにより、高等教育機関は約120億円(8000万ポンド)を節約できる可能性があると言われています。
この報告書は2009年1月に執筆され、その内容に見合うオープンな状態で公開されました。つまり、誰でも各々の目的に基づいて、この報告書を利用することができます。私の知る限りでは、まだこの試算に対して深刻な疑問は提出されていません。

公的資金が削減されており、今後も回復する見込みがない昨今では、このような試算に対する注目は必然的なものです。訪れつつある変化は、思ったよりも急速に進むでしょう。この変化の両極にあるビジネスはどちらも賢く、また機敏に対応せねばなりません。ウェルカムトラスト財団が突きつけたのは、無視することの出来ない、重要な声明なのです。

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